パノラマ館・ジオラマ館
2層式になってるパノラマ館の図
現存するパノラマ館
Panorama Mesdag Den Haag, Nederlandオランダ デン・ハーグ メスタハ パノラマ館
Thun-Panoramaスイス トゥーン ヴォッヒャー パノラマ館
パノラマという言葉は誰もが一度は耳にしたことがあると思います。
でも「パノラマ」というのは、もともと「パノラマ館」という見世物からきた言葉なのです。
では「パノラマ館」とは、いったいどんなものなのでしょう。
パノラマ館は今から200年ほど前、イギリスの発明家レスターによって考えられたもので、
人々の周囲360度をぐるりと取り囲んで絵を配置し、中心から風景を眺めて楽しむものでした。
具体的には直径数十メートルの円形の建物の内壁に、継ぎ目なく遠近法で描かれた絵を
配した見世物でした。
観客は中央にある展望台から周囲の絵を眺めました。照明は天窓からの自然光なので
暗くなったら店じまいです。
画題は自然の風景や街並み、戦場の光景などが多かったようです。
基本的に動きはなく、別段照明効果などもありません。
ただ当時は映画館などもありませんから、これだけでも人々には新鮮な思いで迎えられました。
日本では明治23年、上野に初めて「パノラマ館」が導入され、明治27年の日清戦争のパノラマが
大当たりします。
しかし、制作費がかかることや活動写真の台頭によって、明治40年代には衰退します。
その後はパノラマの一部を切り取ったような、ジオラマ館が博覧会などではやりだします。
観客は歩きながら、いろいろな風景を眺めていくスタイルになります。
これらも「パノラマ」と呼ばれていたため、現在でも「360度のパノラマ」と言ったり、
横長の風景を「パノラマ」と呼んだりするもとになりました。
現在、日本には昔ながらの「パノラマ館」はありませんが、世界にはいくつか残されており実際に見学も可能です(左記参照)。