箱世界

2007ハンズ大賞準グランプリ受賞作品

オカモチに収められた小箱にジオラマの世界を
作った作品です。
20センチ四方ほどの小箱を双眼鏡のように覗くと
目の前に世界が広がります。
一般的なジオラマとは異なり、手前のものは大きく、
奥のものは小さく作るなど遠近法の手法を用いることで
奥行感を生み出しています。

小箱について

『小さな箱に、大きな世界』というのが出発点です。
ポイントになるのが以下のの3点でした
持ちやすさ:  持ちやすい双眼鏡程度の大きさ(重さ)にすること
見やすさ:    両目でも片目でも楽しめること。
収納しやすさ: できるだけ小さく、収まりのよい大きさにすること。

年齢   近点(cm)
10代 8.3
20代    12.5
30代    14.3
40代     25
50代    100
60代    200

手の小さい人でも、楽に持てるような厚み(高さ)を6cmに抑えてあります。
収納の点からも薄い方が有利です。
問題は「見やすさ」でした。目の焦点の合う最も近い距離(=近点)は
一般的に20~30cmといわれています。
これには個人差も大きく、また年齢によっても大きく変化します(右表)。
ですので20cmの奥行は限界ラインともいえます。

特に40代以降から始まる老眼では近いものが見えにくくなります。
ただしある程度は老眼鏡で補正できます。


※実はある方法を使うと隅々までよく見えるようになります。
それは「老眼じゃないけど老眼鏡を使う」もしくは
「普段使う老眼鏡より度数の高いものを使う」ことです。
老眼鏡というと老眼でないと使えないような気がしますが、
実は凸レンズの一種なので拡大鏡として使うことも可能です。
3.5~5.0のやや強めのものを使うとかなり目の前までピントが合うようになります。

困難を極めたのが両目で見られるようにすることでした。
20cm程の奥行では左右の目の視差が大きく、上手に配置しないと破綻してしまいます。