京都 大原三千院
格式のある天台宗の門跡寺院(皇族に由来のある)です.そのため院内のあちらこちらに菊の御紋が見受けられます.
京都市内から北東へ少し離れた大原の里に建立された歴史のあるお寺です.
街の喧騒からも離れているため、静かで落ち着いた雰囲気に包まれています.
まさに「恋に疲れた女がひとり」佇んでいても絵になる場所です.
庭園や建物、信仰の場としての厳かな気配が混然一体となって美しさを醸し出しています.
心が洗われるような感覚は、作家の井上靖が「東洋の宝石箱」と称賛したことからも窺えます.
作品は手前の「虹の間」(宸殿)より眺めた庭園「有清園」です.
さらに奥には木の間に佇む往生極楽院が見えています.
春の若葉、夏の青葉、秋の紅葉、冬の雪と四季折々の美しさには眼を見張るものがあります.
ここでは緑濃い夏の青葉を表現しています.
手前の建物(宸殿)はほぼ南面していますので、シーンは逆光気味になるのが正解です.
ですから西陽は右側から入ります.
実際の光景では緑の豊潤さに眩暈がするようでした.
苔だけでも驚くぐらいの緑の階層です.
これがどこまで表現できるのか?
今回の最大のテーマだったといえます.
左奥に池があるのが解るでしょうか?
手前の部屋は宸殿の「虹の間」と呼ばれるところです.
虹の襖絵は明治から昭和にかけて活躍した日本画の大家下村観山によるものです.
実際の写真
上に跳ね上がる蔀戸になっています.
杉にも風格があります.
苔にも様々な色合いがあります.
本堂の往生極楽院(重要文化財)です.
寛和元年(985年)の建造と伝えられています.
ここは本堂の背面にあたり、中に金色の
阿弥陀如来が鎮座されています.
宸殿の虹の間、天井に向かって伸びる大胆な
襖絵は下村観山の筆によるものです.